マスターズとは？　チケットは何故高い？
　マスターズ観戦手配のリスクを知ろう！

マスターズとは？

ボビー・ジョーンズ

球聖ボビー・ジョーンズ（Bobby Jones, 1902-1971）が創設したオーガスタナショナルG.C.で開催されるゴルフの祭典、名手会「マスターズ」です。
ボビー・ジョーンズはプロを凌ぐ実力を持ちながらもアマチュアを貫き通し、1930年にグランドスラム（全英、全米アマ、全英オープン、全米オープン）を果たし、その年に28歳で競技生活から引退し弁護士として第２の人生を歩みました。その後もその地位を使ってゴルフインストラクター、女性や黒人層に対するゴルフの普及に貢献。その偉大なボビー・ジョーンズが当代の名手（マスター）を招待してトーナメントを企画し、第一回マスターズ大会が1934年に開催されました。
80年以上たった現在もマスターズの招待出場はゴルファーの最高の名誉となる夢舞台です。

マスターズ開催地はジョージア州、オーガスタナショナルG.C.でクラブ会員は約250名。入会は委員会の承認制で、米国大統領では故アイゼンハワー大統領のみが会員承認されました。ビル・ゲイツ（マイクロソフト社会長）は入会希望から５年がかりで承認されたといわれています。 マスターズ観戦以外はクラブ会員と同伴でないと敷地内に一歩も入れない、厳格な会員制ゴルフクラブです。

近年オーガスタナショナルG.C.はアジア太平洋地域や南米の国々でジュニア育成プログラムを運営しており、将来マスターズが真の世界のゴルフ大会になる事を目標としています。
2019年は全米女子アマチュア選手権がマスターズ開催週の前週末にオーガスタナショナルG.C.で開催されました。オーガスタナショナルG.C.が女子ゴルフ大会に会場を提供する事で、長い伝統と因習の男子専用クラブという昔のイメージの払拭をはかれるのではないかというメディアの意見もあります。

ユニークなマスターズ出場資格

歴代マスターズ優勝者、前年のマスターズ上位12位までの選手、各メジャー大会過去５年間の優勝者、前年各メジャー大会上位４位までの選手、前年の全米アマの上位２位、世界賞金ランキング50位までの選手等。
現役のPGAトーナメント出場中のプロ選手だけではなく、往年のスーパースターや、アマチュア選手、外国で活躍中の選手等、年齢、国籍を問わず、出場資格を満たした世界中の実力選手が一堂に会します。このユニークな出場資格がマスターズ（名人会）を特別なゴルフ大会にし、長年に渡り世界中の人気と注目を集めている理由です。

高額でリスクの高いチケット入手事情と背景

1934年に第1回マスターズが開催されました。自家用車や飛行機がまだ普及していない時代、南部のオーガスタという片田舎まで遠くから観戦に来る人は数多くありませんでした。
そこで開催側は観戦客集めのために、近隣の住民や商店主、企業を対象に毎年観戦に来てくれるよう観戦メンバー生涯登録「パトロン」制度を作りました。この制度では、パトロンに対して２枚又は４枚の観戦チケットが一生涯分配され、その個人が亡くなるか、ルールやマナー違反などで登録抹消されない限り一生観戦チケットを券面で購入する権利を有します。
また、マスターズ期間の前後も含めてボランティア奉仕をすると、数年の奉仕勤続後に自動的にパトロンになる制度もありました。しかし現在では新たにパトロンなる手段や方法はなく、既に1973年にパトロンやボランティアのウェイティングリストも締め切られております。
1930-40年代は観戦客集めが必要だったものの、1950-60年代はベンホーガン、サムスニード、1970年代にはゲーリープレーヤー、ジャックニクラス、アーノルドパーマーなどのスター選手が脚光を浴び、米国経済の発展がプロゴルフトーナメントの人気に拍車をかけ、協賛企業やテレビ放映権の収入が拡大し、マスターズはビッグスポーツイベントへと成長しました。日本人選手では1970年代後半からジャンボ尾崎兄弟を初め、毎年数名が招待出場しています。1976年より日本国内でもテレビ放映が始まり、高度成長も重なりゴルフ人気を高めました。
1980年代になると企業が顧客接待として観戦ツアーに招待したり、個人が高額な代金を支払いプレミアムチケットを入手したりすることが一般的となり、パトロン以外の人々が高額でチケットをブローカー経由で購入できるブローカー市場が拡大しました。パトロンの中には自分が観戦しないで、チケットブローカーに毎年高額で転売する者が増え益々プレミアムが付き始めました。2001年、某有名選手のスポンサーであったナイキが顧客接待のためにチケットを数百枚高額で買い占め、ブローカー市場では券面額２００ドルのチケットが１００００ドルまで高騰し取引が行われておりました。スーパーボウルと並び、最もプレミアムの高いスポーツ観戦チケットとなっています。

ホテルもマスターズ料金、厳しい手配条件

大会期間中は世界各国から数万人の観戦旅行者が小さなオーガスタ市に集中滞在するため、地元のホテルは全くの供給不足となります。市内のホテルやモーテルはマスターズの６ヵ月前には完売となり、部屋代、取引条件は一方的な売り手市場です。毎年宿泊契約を更新する既存客や企業に翌年の予約権利が優先され、新参者が新たに予約を取るのは非常に困難な現状です。
また観戦チケット同様、一度予約が取れても、後日大型の団体が入ると少数の部屋予約は別のホテルに誘導される事がよくあります。